今株式マーケットの注目は年内に2回(11月と12月)予定されているFOMCで追加の利上げがあるかどうか。FRBの判断材料として注目を集めるのは雇用統計と消費者物価指数(CPI)だ。市場はまだ十分に追加利上げを織り込んでいない。そんな中10月6日(金)に米国の雇用統計が発表された。結果を一言で言えば、予想を大幅に上回る雇用の強さが目立つ内容だった。
前回 予想 結果
非農業部門雇用者数 +227千人 +170千人 +336千人
製造業雇用者数 +11千人 +5千人 +17千人
雇用が強いという事はFRBとしては利上げがし易い。インフレ抑制のため追加利上げがし易い環境になったって事。つまり、株は下がる。発表後に予想通り長期金利は上がり、株価も急落した。しかし、一旦金利の上げが止まり下がり始めると、株価は下げ止まり、そこから急反発。結局主要3指数揃って上昇して引けた。これが不思議な反発だ。理由としては諸説ある。①平均時給の伸び率が止まったことから、賃金インフレが沈静化したと判断した。②労働参加率が前月同様62.8%まで上昇してきており、過度な労働力不足が解消されてきている。因みに調べてみると、62.8%というのはコロナ禍前2019年7月と同じであり、労働環境が正常化しつつある。③3連休前の調整で、ある程度下げたところから、売りの買い戻しが優勢となった。
僕はこの不思議な反発の本当の理由は分からないが、今週12日の米CPIの発表前に空売りを仕掛けていた機関投資家が、個人の売りが旺盛なうちに調整の買い戻しに動いたと思っている。つまり、買い戻しが一旦終わればこの流れはおしまい。利上げリスクの恐怖はしばらくは収まらないというのが僕のシナリオ。
日本市場もかなり海外勢を中心とした空売りが溜まっているので今週前半は買い戻しによる上昇があると思うが、油断はできない。つまり、米CPIとGAFAMの決算発表が終わり、底が見えたと思えるまでは大きな買いは入れない予定。